島根の秘酒 超王祿 王祿酒造
九州の行きつけの酒屋のマスターがやたらと
激推ししている酒がある。
全国でたった33箇所の酒屋でしかお目にかかれない
知る人ぞ知るお酒。それが王祿。
実は長いこと気にはなっていたが、それ以外の酒を
買って満足していたため、あまり触れてこなかった。
マスターの熱い語りを受け、ガッツリ辛口を
飲んでみたいというリクエストをしたら、
それならばとオススメしてくれたこの王祿を
去年の盆に飲んだ。
超王祿 直汲み 精米60% 限定180本
年3回の催しである、父とその友人夫婦と私の4人
飲みの場で開けたが、これもかなりの衝撃だった。
まず東一を彷彿とさせる微々炭酸の舌ざわり。
口当たりはそこまで強くないのに、みるみる超王祿の
怒涛の攻めが脳天を突いてくる。
するどいキレがボディブローのように効いてくるのに
どこか包容力も感じる不思議な感覚だ。
東一とはまた違ったベクトルで驚かされた。
本当に旨い辛口の酒というものを知った夏だった。
十四代 特別本醸造 本丸
日本酒好きなら一度は飲んでみたいと誰もが
思う幻の酒。山形 高木酒造の秘酒『十四代』。
これがなんと近くの居酒屋で飲めるのだから
私は非常に幸運の持ち主ではなかろうか。
それがこちら
一杯120mlほどでなんと2,000円!
流石に幻の一品だけのことはある。しかも
この十四代はグレードで言うと1番下にあたる
本醸造のお酒だ。
飲むと、ものすごく濃ゆい味わい。
香りはそこまで強くないが、口に含んだ
インパクトは他の追随を許さないものがある。
これで本醸造酒か…というほど、米の旨味も
伝わる。もっと上のグレードを飲んでみたくなる…
そんな1杯でした。
因みにこのお店は他にもあの有名な『田酒』や
『飛露喜』など、かなり面白いレパートリーを
置いている店で、行く度に新しい出会いがある
とっても素敵な店である。またいずれ紹介したい
幻 純米大吟醸生原酒(黒箱) 中尾酒造
だが、個人的にイチオシなのが、竹原にある
中尾酒造の銘酒『幻』である。
グレードごとに色分けがされていて、
純米吟醸の幻は無色 1.5k(4号瓶価格)
大吟醸『幻』の白箱 2k強
純米大吟醸『幻』の赤箱 4k強
そして純米大吟醸生原酒『幻』の黒箱 7k と、
値段が上がるにつれて高級感も伴ってくる。
以前、白箱を初めて口にした時には、前述の獺祭を
初めて口にした時と同じくらいの衝撃を覚えた。
まず、開栓するとまもなく、リンゴの香りに
近い吟醸香がふくよかに香ってくる。
りんご酵母を使っているので、本当にリンゴの
ような香りを楽しむことができる。
味わいも、まるでりんごジュースを飲んだかと
勘違いするほどの甘みで、後味も濃厚。
飲む者を笑顔にさせる、魅力たっぷりの酒だ。
あれから数年、昨年の父の誕生日に祝い酒として
買ったのが今回の黒箱。中尾酒造の最高級酒だ。
行きつけの酒屋でお値打ち価格だったので思い切って
購入し、2人で飲んでみることにした。
(店で撮ったもの。サイドに赤と白が少し見える)
飲んでみて、やはり幻にハズレはないと再確認した。
最高級の名の通り、幻の良さが全てこもった一品。
だが、白箱や赤箱も、比較して全く引けを取らない。
言い換えれば、「7k出して黒箱を飲まなくても、
2kそこらで白箱を飲めば十分幸せになれる」
と言う結論にたどり着いた。
私は友達に広島の酒を紹介してと言われたら、
この幻の白箱をいつも教えている。
獺祭系統の甘口で大衆受けする酒としては、
非常にコスパに優れた1本と言える。
今回は黒箱を飲んで、本当にいい経験になった。
暫定 日本一の名酒 〜東一 純米大吟醸〜
2017年5月現在、飲んできた酒の中で最も旨い酒…
昨年の正月に祝い酒として開けた時の写真が
残っていた。それがこの『東一』である。
暫定私的日本一の酒は、酒処として有名な
灘、伏見、西条、新潟などの酒ではない。
驚くなかれ、佐賀県の酒である。
思い返されるのだが、そのすぐそばの温泉で
有名な町、嬉野に五町田酒造という名酒蔵がある。
何が日本一か。まずは香り。開栓すると、
部屋中に上品でフルーティーな米の香りが広がる。
そして柔らかな口当たり。そののち、優しく
口いっぱいに酒本来の旨みがじわじわと攻めてくる。
僅かに炭酸感を感じさせながら、のどを越しても
上品な香りがいつまでも心地よく残るのだ。
ここまでのレベルの酒を口にすると、それ以外の
酒を飲めなくなってしまう。
飲み比べのアテにしたのは、メディアでも散々
取り上げられてすっかり有名になってしまった
岩国の名酒『獺祭』。
磨き5割では勝負にならないので三割九分を用意。
実際に飲み比べると、獺祭はやはり口当たりが
優しく、最高にフルーティーで、日本屈指の名酒
の名に相応しい味わい。
が、その後に東一を口にすると、なんと獺祭に物足りなさを感じてしまうのだ。
どちらも最高級に旨い酒なのだが、決定的な差は
酒本来の味の濃さにある。
獺祭はどちらかと言うと大衆向けで、酒の苦手な
女性が口にしても美味しいと感じるように、
優しさに個性がある酒。
東一はおそらく本当に酒好きな人を唸らせる為に
存在するような酒ではなかろうかと思う。
酒としての味わいの深さ、まるで高級なワインを
口にするかのような、奥深い酒なのである。
アイコンにもしているが、あの獺祭にも勝るこの
東一をさらに超える酒と出会うことが、私の
密かなる野望である。